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「起源について」フォロー 矢野凱弓(17年4月例会スピーチ)
・我々は何処から来たのか? 何者なのか? 何処へ行くのか? との根源的な問いに対する答えは難しい。先ずは「起源=ものの始まり」について考えてみたい。歴史をどんどん遡ると一体どこに辿り着くのだろうか? 今年は明治150年にあたるが、日本の人口は江戸時代まで3千万人。それが今や1億2千万人と実に4倍の急成長。世界の人口も200年前には僅か10億人だったが、既に72億人を超えている。まさに人類大繁栄の時代だ。18世紀の産業革命、とりわけ化学肥料(窒素、リン酸、カリ)の出現で、食糧生産が幾何級数的に(掛け算的に)増加し、この間の人口爆発を支えている。 日本には皇紀2677年の歴史があるとされるが、初代神武天皇の紀元前6世紀といえば未だ縄文時代で、稲作が始まる前、神話の世界だ。人類の日本渡来はおよそ3万年前とされる。
・現生人類の起源は20万年前
我々の細胞内に在るミトコンドリアDNA(母系に遺伝)を辿って行くと、20万年前のアフリカの1女性、エチオピアのルーシーさんに行き着く。この黒人女性が現生人類(ホモサピエンス)の祖先というのは定説となっており、彼女の子孫がアフリカを出て世界に広がり始めたのは5~10万年前。旧人と称されるネアンデルタール人は60万年前、ジャワ原人・北京原人など人類の遠い共通祖先は数百万年前に出現したようだ。
・生命の起源 37億年前
65百万年前の惑星の衝突で、当時繁栄を誇っていた恐竜が絶滅した話は有名だ。そもそも生物の誕生は37億年前。生命起源説には ①神が作ったとする超自然現象説 ②宇宙に在る生命の種が偶然地球にもたらされたとする地球外起源説、そして現在の主流学説は ③地球の海中にて岩石成分である無機物から化学反応により有機物が出来、生命が生まれた、とされる。生命の誕生は地球が出来てから数億年かかったようだ。
因みに地球には酸素、炭素など92種類の元素が存在する。人体ではその内29種類が確認されている。
・地球の起源 45億年前
太陽の3番目の惑星として誕生した地球は寿命としては今折り返し点に居るようだ。太陽は向こう50億年間、恒星として輝き続ける。やがて核融合反応の燃料である水素を使い切り、次にヘリウムを燃やすようになると巨大化し、水星も火星も飲み込んでしまう。さて、地球の起源を探れば、太陽系の誕生以前を調査することになり、結局宇宙の始まりを研究する事になる。
・宇宙の起源 138.2億年前
宇宙の始まりは強力なエネルギーの大爆発、ビッグバンとされる。 ニュートリノ(昨年梶田教授がノーベル賞受賞で有名に)やヒッグス(13年のノーベル賞)など全ての物質の元となる17素粒子が1兆度ともいう高温の中で1秒以内に生まれた。素粒子から陽子や電子が作られ、3分後に一番軽い元素である水素が誕生する。ヘリウム等、より重い元素も次々と出来てゆく。現在118種の元素まで確認済み。113番は日本人(森田氏)が合成に成功し、昨年ニホニウムと命名される栄誉を得ている。
宇宙で一番初めの星はビッグバン後1億年以上経ってから生まれた。殆どが水素で出来ている宇宙の一番星を探す努力が続けられている。昨年米国チームが4億年目に生まれた星まで見つけている。
といっても、宇宙で解明出来ているのは僅か5%に過ぎない。何も分かっていないダークエネルギーが68%、ダークマターが27%もあるのだ。
それではビッグバンの前は何だったのだろうか?現代の科学の答えは「宇宙は無から生じた」、と言う。
「何も無い」とは「空っぽの空間」という事だが、物質や放射が全く存在しなくとも「エネルギーを持つ」ことが出来る。アインシュタインの一般相対性理論ではエネルギーを持つ空間は指数関数的に膨張する。
こんな解説がある。「空っぽの空間」は複雑、ふつふつ煮えるオートミル(お粥)の泡のように直接的には観察できないほど短い時間の内に、仮想粒子がぽっかりと生まれて、現れては消えてゆく。これが「量子ゆらぎ」だ、何もない所から何かが生まれているのだ。と、説かれても何だか良く分からないが。
神武天皇の時代、ギリシャではすでに哲学が発達し、この辺を深く考察していた。「始まり」の前は「何も無い」だから無から有が生じる、とターレスは喝破する。ソクラテス、プラトン、アリストテレスが続く。
面白いことにギリシャ神話と日本神話には登場人物や物語に様々な共通点がある。興味は尽きない。
29年9月25日投稿
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祝 婚 歌 吉野 弘
二人が睦まじくいるためには
愚かでいるほうがいい
立派すぎないほうがいい
立派すぎることは
長持ちしないことだと気付いているほうがいい
完璧を目指さない方がいい
完璧なんて不自然なことだ
うそぶいているほうがいい
二人のうちどちらかが
ふざけているほうがいい
互いに非難することがあっても
非難する資格が自分にあったかどうか
あとで疑わしくなる方がいい
正しいことを言うときは
少し控え目するほうがいい
正しいことを言うときは
相手を傷つけやすいものだと
気付いているほうがいい
立派でありたいとか
正しくありたいとかいう
無理な緊張には、色目を使わず
ゆったり ゆたかに
光を浴びているほうがいい
健康で 風に吹かれながら
生きていることのなつかしさに
ふと 胸が熱くなる
そんな日があっていい
そして、なぜ胸が熱くなるのか
黙っていても
二人にはわかるのであってほしい
こんな詩を見つけました。ご存じの方も多いと思いますが、年を取った今の自分にも反省・考えさせられることが多く、
面白い詩です。 ・・ 正しいことを言うときは 少し控えめにするほうがいい 正しいことを言うときは 相手を傷つけやすいものだと 気付いているほうがいい・・・・これはまさに納得です。 (会 員)
宮沢賢治の「雨ニモマケズ」は、「非常に高い倫理観」が詩になった稀なケ-ス・・の記載があり改めて読んでみました。道徳の教育はこれで終わりといった内容に改めて驚きました。 (会 員)
雨ニモマケズ
風ニモマケズ
雪ニモ夏ノ暑サニモ マケズ
丈夫ナカラダヲモチ
欲ハナク
決シテ瞋ラズ
イツモシズカニワラッテイル
一日ニ玄米四合ト
味噌ト少シノ野菜ヲタベ
アラユルコトニ
ジブンヲカンジョウニ入レズ
ヨクミキキシワカリ
ソシテワスレズ
野原ノ松ノ林ノ蔭ノ
小サナ茅葺ノ小屋ニイテ
東ニ病気ノコドモガアレバ
行ッテ看病シテヤリ
西ニツカレタ母アレバ
行ッテソノ稲ノ束ヲ負イ
南ニ死ニソウナ人アレバ
行ッテコワガラナクテイイトイイ
北ニケンカヤソショウガアレバ
ツマラナイカラヤメロトイイ
ヒデリノトキハナミダヲナガシ
サムサノナツハオロオロアルキ
ミンナニデクノボウトヨバレ
ホメラレモセズ
クニモサレズ
ソウイウモノニ
ワタシハナリタイ
※寒さの夏:凶作⇒飢死